介護ベッド 選び方【レンタル vs 購入 徹底比較】訪問PT推奨
「母が朝、ベッドから起き上がれなくなっていました…」
訪問リハビリの現場で、このようなご相談をいただくことは珍しくありません。
普通のベッドや布団では、筋力が低下した高齢者が自力で起き上がるのは難しく、無理に起きようとして転落したり、介助するご家族が腰を痛めてしまったりするケースが後を絶ちません。
「まだ早いかな?」と思っているその時こそ、実は導入のベストタイミングです。
介護ベッド(特殊寝台)は、単に「寝る場所」ではなく、ご本人の自立を助け、ご家族の介護負担を劇的に減らす「生活の拠点」となる福祉用具だからです。
この記事では、多くのご家庭で導入を支援してきた訪問PT(理学療法士)の視点から、介護ベッドの「レンタル」と「購入」の賢い選び方、そして後悔しないためのおすすめ製品をご紹介します。
介護ベッド レンタル vs 購入 判断基準
【レンタルがおすすめな人】
✅ 要介護2以上(介護保険適用で月額500円〜)
✅ 短期間の利用予定(退院直後など)
✅ 多機能なベッドを安く試したい
【購入がおすすめな人】
✅ 要支援1以下(介護保険適用外)
✅ 3年以上の長期利用が決まっている
✅ 新品を使いたい・自分好みにこだわりたい
訪問PT推奨の3つの選択肢
- 【1位】レンタル(介護保険適用) – コスパ最強・サポート充実
- 【2位】レンタル(自費) – 要支援でも月額数千円〜
- 【3位】購入(パラマウント等) – 長期安定利用向け
1. なぜ介護ベッドが必要なのか?(普通のベッドとの決定的違い)
「布団や普通のベッドじゃダメなの?」と聞かれることがありますが、訪問PTとしては明確に「NO」とお答えします。
介護ベッドには、普通の寝具にはない3つの重要な機能(背上げ、高さ調整、膝上げ)があり、これが生活の質を大きく左右するからです。
介護ベッドが必要な5つのサイン
以下のような兆候が見られたら、転倒や寝たきりを防ぐために導入を検討すべきタイミングです。
- 起き上がる時に手をつく、時間がかかる
腹筋が弱り、自力での起床が困難になっています。背上げ機能があれば、ボタン一つで楽に起き上がれます。 - 立ち上がる時にふらつく
ベッドの高さが合っていない証拠です。足の裏がしっかり床につく高さに調整することで、ふらつきを防げます。 - ベッドから転落しそうになった(または転落した)
寝返りが難しくなっていたり、端の感覚が鈍くなったりしています。転落防止柵(サイドレール)が必要です。 - 介護者が腰を痛めている
低い位置でのオムツ交換や体位変換は、介護者の腰に甚大な負担をかけます。ベッドの高さを上げることで、介護負担を劇的に軽減できます。 - 夜間トイレで転倒リスクがある
寝ぼけた状態で暗い中を動くのは危険です。ベッド柵を手すり代わりに使うことで、安全に立ち上がれます。
「もう少し弱ってからでいい」と先延ばしにする方が多いですが、転倒骨折してからでは遅いのです。元気なうちから介護ベッドに慣れておくことで、自立した生活を長く維持できます。
2. レンタル vs 購入 徹底比較【料金・条件・メリット】
介護ベッドを導入する方法は大きく分けて3つあります。「介護保険レンタル」「自費レンタル」「購入」です。
それぞれの違いを表にまとめました。
| 項目 | レンタル(介護保険) | レンタル(自費) | 購入 |
|---|---|---|---|
| 月額費用 | 500〜2,000円 (1割負担) | 5,000〜15,000円 | – |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 3万〜15万円 |
| 介護保険 | 適用(要介護2以上) | 適用外 | 適用外 |
| 交換・修理 | 無料 | 無料 | 有料 |
| メンテナンス | 業者対応(定期消毒) | 業者対応 | 自己対応 |
| 適用条件 | 要介護2以上 ※例外あり | なし | なし |
それぞれの選択肢のメリット・デメリット
① レンタル(介護保険)
メリット:圧倒的に安く、高性能なベッドを利用できます。身体状況が変わっても機種変更が容易で、汚れたり故障したりしても無料で交換・修理してもらえます。
デメリット:原則として「要介護2以上」の認定が必要です。自分のものにはなりません。
② レンタル(自費)
メリット:介護認定がなくても(要支援や自立でも)利用できます。必要な期間だけ借りられます。
デメリット:介護保険が効かないため、月額費用は高くなります。
③ 購入
メリット:新品を自分のものとして使えます。長期(3〜5年以上)使うなら、トータルコストがレンタルより安くなる場合があります。
デメリット:初期費用が高額です。不要になった時の処分(粗大ゴミ)が大変で、故障時の修理費も自己負担です。
介護ベッドは、実際に家に入れてみると「大きすぎて邪魔」「モーター音が気になる」といった不満が出ることがあります。購入してしまうと返品が難しいため、まずはレンタル(介護保険または自費)で数ヶ月試してみることを強くおすすめします。
3. おすすめ介護ベッド3選【訪問PT厳選】
【1位】介護ベッド レンタルサービス(介護保険適用)
月額費用目安:500〜2,000円(1割負担の場合)
要介護2以上の方なら、まずはここから検討すべきです。ダスキンヘルスレントやフランスベッドなど、大手の福祉用具専門相談員が自宅に合い、身体状況にマッチしたベッドを選定してくれます。
メリット
- ✅ 介護保険適用で自己負担が圧倒的に少ない
- ✅ 身体の状態変化に応じて、マットの硬さや柵の種類を変更できる
- ✅ 定期的なメンテナンス・消毒・修理がすべて無料
- ✅ 不要になったら電話一本で引き上げ(返却)可能
デメリット
- ❌ 要介護2以上の認定が必要(要支援等は要相談)
- ❌ 在庫状況により、希望の機種がすぐに入らないことがある
推奨ユーザー
- 要介護2以上の認定を受けている方
- 費用を最小限に抑えたい方
- 将来的に施設入所などを考えている方
📞 レンタル申請の流れ
- 担当のケアマネジャーに「介護ベッドをレンタルしたい」と相談
- 福祉用具専門相談員が自宅訪問し、身体状況を確認
- 最適なベッドを選定・搬入(通常1〜2週間)
ケアマネジャーがいない場合は、お住まいの地域包括支援センターへ。
福祉用具レンタルの詳しい手順を見る >
介護保険が使えるなら、絶対にレンタル一択です。高性能なパラマウントベッドなどが月1,000円程度で使えるのは破格です。担当のケアマネジャーか、信頼できる福祉用具業者にまずは相談しましょう。
【2位】パラマウントベッド INTIME(購入)
価格目安:約158,000円~
病院や介護施設で圧倒的なシェアを誇る「パラマウントベッド」の在宅向けモデルです。
3モーター(背上げ・膝上げ・高さ調整)搭載で、動きが非常にスムーズかつ静かです。将来的に介護度が上がっても対応できる高機能モデルです。
メリット
- ✅ 国内シェアNo.1の信頼性と耐久性
- ✅ 「らくらくモーション」で身体のズレや圧迫感を軽減
- ✅ 組み立てが比較的簡単で、デザインも家庭に馴染む
デメリット
- ❌ 初期費用が高額
- ❌ 故障時の修理費用がかかる
推奨ユーザー
- 要支援1以下だが、将来を見据えてしっかりしたベッドが欲しい方
- 3年以上の長期在宅介護が決まっている方
- 「誰が使ったか分からないレンタル品は嫌」という
「やっぱりパラマウント」と指名買いされることが多いブランドです。病院と同じ使い勝手なので、退院後の高齢者も混乱せずに操作できます。予算が許すなら、購入派には間違いなくこれがおすすめです。
【3位】アイリスオーヤマ 電動介護ベッド(購入・コスパ重視)
価格目安:約35,000〜55,000円
家電メーカーとして有名なアイリスオーヤマの電動ベッドです。
必要最低限の機能(背上げ・足上げ)に絞ることで、驚きの低価格を実現しています。折りたたみ式で、設置や移動が簡単なのも特徴です。
メリット
- ✅ 圧倒的な低価格で導入しやすい
- ✅ 軽量で折りたたみ可能、掃除やレイアウト変更が楽
- ✅ 組み立て不要ですぐに使えるモデルもある
デメリット
- ❌ 高さ調整機能がないモデルが多い(介護者の負担軽減には不向き)
- ❌ マットレスの質や耐久性はパラマウントに劣る
- ❌ 柵の強度が本格的な介護用より弱い
推奨ユーザー
- 予算を極力抑えたい方
- 「とりあえず電動機能を試してみたい」という方
- 介護度はまだ低く、自立度が高い方
「起き上がりだけ助けてほしい」という軽度の方には十分な機能です。ただし、高さ調整ができないタイプは、オムツ交換などの介助が必要になった時に腰を痛める原因になるので注意が必要です。
4. 失敗しない!介護ベッド選定の4ポイント
いざ選ぼうとしても、種類が多くて迷ってしまうものです。訪問PTとして「ここだけはチェックして!」という4つのポイントを解説します。
ポイント1:サイズ(幅)
一般的には「シングル(約91cm)」か「セミシングル(約83cm)」です。
91cm幅:ゆったり寝返りが打てる標準サイズ。自立度が高い方向け。
83cm幅:介護者がベッドの両側からアプローチしやすいスリムサイズ。部屋が狭い場合や、密着して介助が必要な方向け。
ポイント2:モーター数(1〜3モーター)
1モーター:背上げのみ。自力で動ける方向け。
2モーター:背上げ+高さ調整。立ち上がり動作を助けたい方向け。
3モーター:背上げ+膝上げ+高さ調整。身体のズレを防ぎ、全介助が必要な方にも対応。
ポイント3:設置場所(動線確保)
ベッドの配置は「頭の位置」だけでなく、「介護するスペース」も重要です。
ベッドの周りに最低でも50〜60cmのスペースがないと、車椅子への移乗やオムツ交換ができません。また、近くにコンセントがあるかも確認しましょう。
ポイント4:介護度と将来予測
現在は自力で動けても、半年後にどうなっているかは分かりません。
「今は1モーターで十分」と思って購入しても、すぐに高さ調整が必要になるかもしれません。将来的に状態が悪化する可能性がある場合は、機能追加が容易なレンタルの方がリスクが低いです。
5. よくある質問(FAQ)
A. 原則として「要介護2以上」の認定を受けていることが条件です。ただし、要支援や要介護1の方でも、「起き上がりが困難」「日常的に転倒している」などの医師の所見があれば、例外的に認められる場合があります。ケアマネジャーに相談してみましょう。
A. 介護保険(1割負担)が使えるなら、圧倒的に「レンタル」がお得です。月1,000円で借りたとして、10万円のベッドを買うコストに達するには8年以上かかります。自費レンタルの場合は、3年以上使うなら購入の方が安くなる計算になることが多いです。
A. 「起き上がりに時間がかかるようになった」「ベッドサイドでふらつく」「夜間トイレが心配」と感じたら、即導入をおすすめします。転倒してからでは遅いです。手すり代わりにもなるので、早めの導入が自立期間を延ばします。
6. まとめ:まずは「レンタル」で試すのが鉄則
介護ベッドは、ご本人の自立を助けるだけでなく、介護するご家族の身体(特に腰)を守るための重要な砦です。
- 介護保険(要介護2以上)なら迷わずレンタル
- 要支援・自立なら、まずは自費レンタルで試すか、長期利用覚悟で購入
- 機能選びに迷ったら、大は小を兼ねる3モーター(パラマウント等)が安心
まずは、お近くの地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、カタログを取り寄せたり、福祉用具業者に試用をお願いしたりすることから始めてみてください。
快適な睡眠環境が整えば、介護生活の質は間違いなく向上します。
転倒リスクをさらに減らすために
ベッド周りの環境整備ができたら、次は「動線」の安全確保です。
夜間のトイレ移動は転倒の最大のリスクポイント。手すりや滑り止めマットも合わせて検討しましょう。


福祉用具の賢い使い方はこちら
介護ベッド以外にも、車椅子や歩行器など、介護保険で安く借りられる福祉用具はたくさんあります。

