夜間トイレ 転倒予防 完全ガイド【手すり・照明・見守りの3点セット】訪問PT推奨
「夜中に『ドスン』という大きな音が聞こえたら…」
そんな恐怖を感じながら、毎晩眠りの浅い日々を過ごしていませんか?
訪問PTとして多くのご家庭を回る中で、最も胸が痛むのは「夜間のトイレ中に転倒し、朝まで気づかれなかった」というケースです。
発見が遅れると、骨折だけでなく脱水症状や低体温症を併発し、そのまま寝たきりになってしまうことも少なくありません。
しかし、夜間トイレの転倒は、適切な環境調整で防げる事故です。
この記事では、訪問PTの視点から、今すぐ実践できる「転倒予防の3点セット」を具体的に解説します。家族の安心と本人の安全を守るために、ぜひ参考にしてください。
- 対策1:手すり – 歩行を安定させる(物理的支え)
- 対策2:センサーライト – 足元を明るく照らす(視認性向上)
- 対策3:見守りカメラ – 万が一の早期発見(安心の備え)
1. なぜ夜間トイレは転倒しやすいのか?(訪問PT視点)
高齢者の転倒事故の約40%は夜間に発生しているというデータがあります。
なぜ、夜間のトイレ移動はこれほど危険なのでしょうか?訪問リハビリの現場で見えてくる主な要因は以下の3つです。
- 暗い(視界が悪い)
加齢とともに視力、特に暗順応(暗さに目が慣れる機能)が低下します。若者には「少し暗い」程度でも、高齢者にとっては「真っ暗で何も見えない」状態に近いことがあります。足元の段差や障害物(スリッパ、コード類)に気づかず、つまずいてしまうのです。 - 急ぐ(尿意切迫・焦り)
夜間頻尿や尿意切迫感(急に強い尿意を感じる)がある場合、「漏らしてしまうかもしれない」という焦りから、普段よりも速く動こうとしてしまいます。慌ててベッドから立ち上がったり、小走りで移動しようとしてバランスを崩すケースが非常に多いです。 - 半覚醒状態(判断力・反応速度の低下)
寝起き直後は血圧が下がりやすく(起立性低血圧)、脳への血流が不足してふらつきやすくなります。また、睡眠薬を服用している場合は、薬の影響で筋弛緩作用や眠気が残り、足元がおぼつかない状態になります。
【実際にあった事例】
70代男性。夜中にトイレへ行こうとして廊下で転倒。大腿骨を骨折しましたが、家族に迷惑をかけたくないと声を上げず、朝まで冷たい廊下で倒れていました。結果、骨折の手術だけでなく肺炎も併発し、3ヶ月の入院を経て要介護2の認定を受けることになりました。
「手すり一本、ライト一つあれば防げたかもしれない」と、ご家族が悔やんでいた姿が忘れられません。
転倒は、本人の苦痛はもちろん、介護する家族の生活も一変させてしまいます。しかし、環境を整えることで、そのリスクは劇的に減らすことができます。
2. 夜間トイレ転倒予防の3点セット
転倒を防ぐためには、「物理的な支え」「視覚的な補助」「万が一の備え」の3つを組み合わせることが最も効果的です。
【対策1】手すりで歩行を安定させる
最も基本的かつ重要な対策が「手すり」です。手すりがあることで、ふらついたときに体を支えることができ、心理的な安心感も生まれます。特に、寝室から廊下に出る瞬間、トイレの中で立ち上がる動作、便座に座る動作の3点は転倒リスクが高いため、手すりが必須です。
■ 介護保険を活用したレンタル(推奨)
要支援・要介護認定を受けている場合、工事不要の「置き型手すり」を月額数百円程度でレンタルできます。福祉用具専門相談員が自宅に合ったものを選定・設置してくれるため、まずはケアマネジャーに相談することをおすすめします。

■ Amazon/楽天で購入できる工事不要手すり
介護認定を受けていない、または申請中の場合は、市販の工事不要手すりを購入するのも一つの手です。
PT視点での選び方: 高さが調整できるもの、握り部分に滑り止め加工があるもの、そして体重をかけてもグラつかない底板が重いタイプを選びましょう。
【対策2】センサーライトで足元を照らす
「電気をつけると眩しくて目が覚めてしまう」という理由で、暗闇の中を移動する高齢者は多いです。しかし、これが転倒の大きな原因です。
そこでおすすめなのが「人感センサーライト」です。
- 自動点灯・消灯:スイッチを探す必要がなく、消し忘れもありません。
- 足元だけを照らす:眩しすぎず、睡眠を妨げにくいです。
- 設置が簡単:コンセント式や電池式なら工事不要です。
設置場所は、「寝室の出口(ベッドの足元)」「廊下の曲がり角」「トイレの入口」の3箇所が基本です。
訪問先でセンサーライトを導入したご家族からは、「夜のトイレが怖くなくなった」「親が一人で行けるようになった」と非常に好評です。数千円でできる最もコスパの良い対策と言えます。
【対策3】見守りカメラで早期発見
手すりと照明で「転倒を防ぐ」対策をしても、リスクをゼロにすることはできません。体調不良やふらつきによる転倒はいつ起こるかわからないからです。
そこで重要なのが、「転倒してもすぐに気づける仕組み」=見守りカメラです。
- 転倒検知・通知:転倒した瞬間にスマホに通知が来るため、発見の遅れを防げます。
- リアルタイム確認:ベッドに戻ったか、トイレに長くこもっていないかを布団の中から確認できます。
- 録画機能:「いつ転んだのか」「なぜ転んだのか」を確認し、次の対策に活かせます。
「カメラは監視されているようで嫌だ」という方には、カメラなしのプライバシー配慮型(センサープラグなど)も選択肢になります。
▼ 訪問PTが厳選した見守りサービスはこちら
「どれを選べばいいか分からない」という方のために、プライバシー配慮型から高機能カメラまで比較しました。

3. その他の転倒予防策(プラスαの工夫)
3点セットに加えて、以下の工夫をすることでさらに安全性は高まります。
① 滑り止めマットの活用
フローリングの廊下は、靴下を履いていると非常に滑りやすくなります。トイレの前や洗面所の入り口など、方向転換をする場所には薄手の滑り止めマットを敷きましょう。ただし、厚みがありすぎると逆につまずきの原因になるので注意が必要です。
② トイレまでの動線整理
寝室からトイレまでのルートに、新聞紙、コード類、スリッパなどが散乱していませんか?「夜だけは床に何も置かない」をルールにするだけでも効果があります。
③ ポータブルトイレの検討
トイレまでの距離が遠い、または頻尿が激しい場合は、寝室にポータブルトイレを設置することも検討しましょう。歩く距離をゼロにすることで、転倒リスクは物理的になくなります。
④ 夜間の水分調整
医師と相談の上ですが、就寝前2時間の水分摂取を控えることで夜間のトイレ回数を減らせる場合があります。(※脱水には十分注意してください)
4. よくある質問(FAQ)
A. はい、要支援・要介護認定を受けていれば可能です。自己負担1〜3割(月額数百円〜)でレンタルできます。工事不要の「置き型手すり」が一般的です。
A. 「寝室の出口(ベッドサイド)」「廊下の曲がり角」「トイレの入口」の3箇所が基本です。暗闇になる区間を作らないように配置しましょう。
A. 「万が一」の発見遅れを防ぐためには推奨します。特に一人暮らしや、家族が別室で寝ている場合は命綱になります。カメラへの抵抗感がある場合は、プライバシーに配慮したプラグ型センサーも検討してください。
A. 「転ばぬ先の杖として、あるだけで安心だから」と伝えて、まずは設置して慣れてもらうことが大切です。一度使い始めると、「あると楽だ」と実感して使ってくれることが多いです。
A. 物販で購入する場合、手すり(約5,000円)+センサーライト(約2,000円)+見守りカメラ(約4,000円)で、初期費用1〜2万円程度で揃えることができます。
5. まとめ:できることから始めよう
夜間トイレの転倒は、本人にとっても家族にとっても恐ろしい事故ですが、「防げる事故」でもあります。
- まずはセンサーライトを1つ置いてみる(数千円で即効果あり)
- 手すりの設置をケアマネジャーに相談するか、市販品を検討する
- 万が一に備えて見守りカメラ・サービスの資料請求をしてみる
すべてを一度にやる必要はありません。まずは「センサーライトを置く」という小さな一歩から始めてみてください。
その一歩が、大切な家族の安全と、あなたの安眠を守ることにつながります。
夜間トイレの不安を減らせても、毎日の食事作りも大変では?
「夜の心配は減ったけれど、日々の食事作りで疲れてしまう…」
そんな悩みをお持ちの方には、配食サービスの活用もおすすめです。栄養バランスの整った食事が届くので、買い出しや調理の手間が省け、介護負担がグッと軽くなります。
📌 あわせて読みたい▶ 高齢者向け配食サービス おすすめ3選【訪問PT推奨】
