【介護】ベッドでずり落ちた体を上に戻す方法|腰を痛めないコツとスライディングシート(代用品あり)

こんにちは!訪問リハビリのゆっくまです。今日は介護で本当によくある悩み、 「ベッドの下にずり落ちた身体(上方移動が必要な状態)を、どうやって安全に上へ戻すか」を、 腰を痛めない方法でわかりやすくまとめます。
結論:上に戻すコツは「引っ張らない」「摩擦を減らす」「道具を使う」
いきなり結論です。ベッドでずり落ちた身体を上に戻すときは、腕力で引き上げるほどキツくなります。 ポイントはこの順番だけ覚えてください。
- ベッドをフラットにして摩擦を減らす(準備が9割)
- できる人は 膝立て+足の力 を使って“滑らせる”
- 動けない人・体格差があるなら スライディングシート(なければ大きなゴミ袋で代用)
- それでも無理なら ベッド機能(足上げ等)or 2人介助。無理は禁物です

まず最重要:安全の注意喚起(禁忌・中止の目安)
介助は「がんばれば何とかなる」ジャンルではなく、痛み・皮膚トラブル・転落・介助者の腰痛など事故につながることがあります。 次に当てはまる場合は、いったん中止して専門職へ相談してください。
次の場合は無理に動かさない(相談推奨)
- 本人が強い痛みを訴える/動かすと痛がる(肩・肋骨・腰・股関節など)
- 皮膚が弱く、すでに赤み・皮むけがある(摩擦で悪化しやすい)
- 点滴・胃ろう・尿カテ・酸素チューブなど、ライン類が引っ張られる恐れがある
- 介助者が「これは腰をやる」と感じる重さ(体格差が大きい/本人が全く動けない)
この場合は、道具か2人介助へ切り替えるのが安全です。
これはNG(やりがちだけど危険)
脇の下に手を入れて、腕の力だけで「せーの!」で引っ張り上げる方法は、 本人も介助者も痛めやすいので避けましょう。
なぜ「引き上げる」と重いの?(死重+摩擦が原因)
本人が脱力していると、身体は「死重(しじゅう)」になり、実際以上に重く感じます。 さらに、シーツとパジャマの間には摩擦が働きます。
つまり、力任せに引っ張ると「体重」+「摩擦力」を介助者の腰が全部受け止める形になり、 ギックリ腰の原因になります。
【準備】上方移動の前に:摩擦を減らす3ステップ(ここで8割決まる)
上に戻す前に、身体を“コンパクト”にして摩擦を減らすと、体感の重さがガラッと変わります。

- ベッドを平らにする(フラットが基本)
背上げを使っている場合は、いったん完全フラットへ戻します。頭側の柵が外せるなら外すと動かしやすいです。 - 膝を立てる(できる範囲でOK)
膝が立つと足裏がベッドにつき、踏ん張りが効き、接地面が減って摩擦が減ります。 - 腕は胸の前で組んでもらう
腕がだらんとするとブレーキになりやすいので、できる範囲でコンパクトに。
方法①:膝立て+足の力で「滑らせて」上に戻す(協力できる人向け)
本人が少しでも足を使える・指示が入る場合に有効です。介助のコツは持ち上げないこと。 上に“押し出す”イメージです。

やり方(手順)
- 本人は膝を立てる
- 介助者はベッド横に立つ
- 片手を首の下、もう片手を骨盤(お尻の横の骨)の下へ
- 「おへそを見るように頭を少し上げてください」と声かけ(背中の摩擦が減る)
- 「足で蹴って上にいきましょう」のタイミングで、骨盤を持ち上げずに頭側へ押し出す
太ももをベッド枠に当てて支点にするとさらに楽になります(テコの原理)。
方法②:スライディングシート(なければ大きなゴミ袋)で摩擦を消す(動けない人向け)
本人がほぼ動けない/体格差が大きい/一人介助で腰が不安なときは、道具が最適解です。 滑りやすい布=スライディングシートを使うと、驚くほど軽く動きます。
専用品がない場合、ツルツル素材の大きなゴミ袋で代用できる点も有効です。

シートの敷き方と動かし方(手順)
- 本人を横向き(側臥位)にする
- 丸めたシート(またはゴミ袋)を背中〜お尻の下へ差し込む(ポイント:2枚重ね(筒状))
- 仰向けに戻し、肩と骨盤を支えて頭側へ“滑らせる”
- 移動後は再度横向きにしてシートを抜く(蒸れやすいので敷きっぱなしにしない)
代用品(ゴミ袋)を使うときの注意
- 破れやすい素材は避ける(途中で裂けると危険)
- 蒸れやすいので、必ず抜き取る
- 皮膚が弱い方は、赤み・熱感が出ていないか確認(赤みが出たら中止)
どうしても動かないときの最終手段(無理をしない)
テクニックを使っても動かないなら、そこで勝負しないのが正解です。
ベッドの機能を使う(背抜き・足上げ)
介護ベッドによっては、背上げ時のずれを減らす機能(足上げ機能)があります。 足側を少し上げて重力を利用し、頭側に滑らせやすくする方法もあります。
※ただし、頭に血が上りやすい方は長時間の足上げは避けましょう。
二人介助をお願いする
訪問ヘルパー・訪問看護・訪問リハの時間に合わせて位置を直すのも立派な選択です。 全部を一人で背負わないでください。
【ずり落ち予防】そもそも下がらないようにする工夫(毎日の負担を減らす)
「上に戻す技術」だけでなく、ずり落ちを減らす工夫を入れると、介護も腰もかなり楽になります。
予防の基本は「摩擦と姿勢の設計」
- 背上げの前に、可能ならいったん身体の位置を整える(ずれたまま背上げすると下がりやすい)
- 膝が立てられる人は、背上げ時に軽く膝を立てると下がりにくい(状況に応じて)
- 衣類・寝具のシワは“摩擦のムラ”になり、局所的にずれやすいので整える(皮膚トラブル予防にも)
「道具」で予防する(検討価値あり)
- 体位保持クッション等で姿勢を安定させる
- ベッドの機能(足上げ連動など)を活用する
ご自宅のベッド機種・本人の状態で最適解が変わるので、担当ケアマネさんや訪問リハに一度見てもらうのが早いです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 1人でやっていい目安は?
腰に不安がある・体格差が大きい・本人が全く動けない場合は、道具か二人介助へ切り替えるのが安全です。
Q2. スライディングシートを敷いたままにしていい?
蒸れやすいので、移動後は抜き取りましょう。
Q3. ゴミ袋代用はアリ?
専用品がない緊急時の代用としては有効ですが、破れ・蒸れに注意し、必ず抜き取ってください。
まとめ:あなたの腰を守ることは、相手を守ること
介護は毎日続きます。だからこそ、力任せではなく、摩擦を減らして滑らせる。 必要なら道具とプロの手を借りる。それが長く安全に続けるコツです。
「スライディングシートの使い方が不安」という場合は、担当のケアマネさんや訪問リハの先生に相談してみてください。 実演が一番早いです。
