一人暮らし高齢者の安否確認方法【家族ができる5つの対策】訪問PT推奨
「母から朝の電話がこない…。もう10時なのに。」
離れて暮らす親御さんを持つご家族にとって、連絡が途絶えた時の不安は計り知れません。
「もしかして倒れているんじゃないか」「孤独死していたらどうしよう」
そんな悪い想像が頭をよぎり、仕事も手につかなくなってしまいます。
かといって、毎日電話をするのもお互いに負担がかかりますし、親御さんにとっても「監視されているようで嫌だ」と感じることもあります。
大切なのは、ご家族の安心と親御さんの自立した生活(プライバシー)を両立させる「適切な安否確認の仕組み」を作ることです。
この記事では、訪問リハビリ(PT)として多くの一人暮らし高齢者を支援してきた経験から、家族ができる具体的で効果的な5つの安否確認方法をご紹介します。
安否確認の5つの方法 – 親のタイプ別おすすめ
【家族ができる5つの対策】
- 毎日の電話・ビデオ通話(基本中の基本)
- 見守りカメラ(映像で24時間確認・転倒検知)
- 見守りプラグ・センサー(プライバシー重視)
- 配食サービス(食事と安否確認の一石二鳥)
- 地域の見守りネットワーク(無料の公的支援)
訪問PTからのアドバイス
どれか一つに頼るのではなく、「複数の方法を組み合わせる」のが最も安心です。
(例:カメラ + 配食サービス)
1. なぜ一人暮らし高齢者の安否確認が必要なのか?(リスクと現状)
2025年には、65歳以上の一人暮らし(独居)世帯は約700万世帯に達していると言われています。
一人暮らしの最大のリスクは、屋内で倒れた時に「発見が遅れること」です。
主なリスク:転倒・脳卒中・心筋梗塞・孤独死
私が担当した利用者様でも、「朝起きてこなかった」「夜トイレに行こうとして転倒し、朝まで動けなかった」という事例は後を絶ちません。
脳卒中や心筋梗塞はもちろん、大腿骨骨折などの転倒事故でも、発見が1時間遅れるごとに生存率や予後(回復の見込み)は大きく下がります。
「心配だから施設に入って」と説得しても、多くの高齢者は「住み慣れた家で暮らしたい」と願います。
その願いを叶えるためには、何かあった時にすぐに気付ける「セーフティネット(安否確認)」が不可欠なのです。
2. 家族ができる5つの安否確認方法【詳細比較】
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。親御さんの健康状態や性格に合わせて選びましょう。
【方法1】毎日の電話・ビデオ通話(基本中の基本)
- 費用:無料(通話料のみ)
- メリット:声のトーンや顔色で体調変化に気づける、孤独感の解消になる。
- デメリット:毎日続けるのがお互いに負担になる、電話に出ないと過剰に不安になる。
- おすすめツール:LINEビデオ通話、Zoom、Skype、Amazon Echo Show
「今日は元気?」だけでなく、「何食べた?」「天気はどう?」といった会話から、認知症の兆候(同じ話を繰り返す、言葉が出てこない)に気づくこともできます。

【方法2】見守りカメラ(映像で24時間確認)
- 費用:月額0円〜3,000円(機種による)
- メリット:リアルタイムで映像を確認できる、動体検知でスマホに通知が来る、録画機能で過去の様子も見られる。
- デメリット:「監視されている」と感じやすい(プライバシーの問題)、Wi-Fi設定などが必要。
- おすすめ製品:Tapo C210(高コスパ)、ATOM Cam 2、見守りプラス(総合サービス)
「電話に出ない!」という時に、カメラで様子を見て「あ、寝てるだけだ」と確認できれば、家族の精神的負担は激減します。
夜間トイレへの動線(廊下など)に設置すれば、転倒リスクの高い時間帯の様子も確認できます。
【方法3】見守りプラグ・センサー(プライバシー重視)
- 費用:月額1,000円〜3,000円
- メリット:カメラに抵抗がある親でも受け入れやすい、電力使用量やドアの開閉で生活リズムを把握できる。
- デメリット:映像が見えないため、倒れているのか外出中なのか判別しにくい。
- おすすめサービス:見守りプラス、まもりこ
「トイレの電気が一晩中ついている」「ポットが朝から一度も使われていない」といった異常検知でアラートが来ます。
プライバシーを守りつつ、最低限の安否確認をしたい場合に最適です。
【方法4】配食サービス(安否確認付き)
- 費用:1食500円〜1,000円(弁当代)
- メリット:栄養バランスの改善、配達員が手渡しで安否確認、孤独感の軽減。
- デメリット:費用がかかる、毎日の配達ではない場合がある(週1〜3回程度)。
- おすすめサービス:わんまいる、シニアライフクリエイト、コープ配食
一人暮らし高齢者は「低栄養」になりやすく、それが筋力低下や転倒の原因になります。
美味しいお弁当を楽しみにして待つことで、生活にメリハリも生まれます。
【方法5】地域の見守りネットワーク(無料)
- 費用:無料
- メリット:地域包括支援センター、民生委員、新聞配達員、郵便局などが連携して見守ってくれる。
- デメリット:毎日の確認ではない、地域によってサービスの質に差がある。
- 申し込み先:お住まいの地域包括支援センター
【5つの方法 比較表】
| 方法 | 費用 | プライバシー | リアルタイム性 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 電話・通話 | 無料 | ◎ | △ | ★★★☆☆ |
| 見守りカメラ | 低〜中 | △ | ◎ | ★★★★★ |
| 見守りプラグ | 中 | ◎ | ○ | ★★★★☆ |
| 配食サービス | 実費 | ◎ | △ | ★★★☆☆ |
| 地域ネット | 無料 | ◎ | △ | ★★☆☆☆ |
3. 親のタイプ別おすすめ組み合わせパターン
一つの方法だけでは死角ができます。親御さんの状況に合わせて、複数の方法を「重ね掛け」しましょう。よくある3パターンについて経験をもとに対策をまとめました。
パターンA:プライバシー重視の親(カメラNG)
【電話 + 見守りプラグ + 配食サービス】
日々の連絡は電話で、生活リズムはプラグで把握。週に数回、配食サービスの配達員に直接顔を見てもらいます。
パターンB:カメラOKの親(転倒リスクあり)
【電話 + 見守りカメラ + 地域ネットワーク】
リビングや廊下にカメラを設置し、万が一の転倒に備えます。地域の民生委員などとも繋がっておき、緊急時に駆けつけてもらえるようにします。
パターンC:認知症の兆候がある親
【見守りカメラ + 配食サービス + 地域ネットワーク】
服薬管理や火の始末が心配なため、カメラでの確認は必須です。配食サービスで栄養管理もしつつ、多くの人の目で見守ります。
4. 安否確認を始める際の4つの注意点
注意点1:親の同意を必ず得る
内緒でカメラを設置するのは絶対にNGです。「監視」ではなく「何かあった時に助けたいから」という愛情を伝えて、納得してもらいましょう。
注意点2:過剰な干渉は自立心を奪う
心配だからといって、毎日3回も4回も電話をするのは逆効果です。親御さんの生活リズムを尊重し、「見守られているけど自由」な距離感を保ちましょう。
注意点3:緊急時の連絡先を共有
「カメラで倒れているのを見つけた!でも遠方ですぐ行けない!」という時に備えて、近所の方、地域包括支援センター、管理会社などの連絡先をリスト化しておきましょう。
注意点4:定期的な見直し
高齢者の身体状況は半年で大きく変わります。「今は電話だけで大丈夫」でも、半年後はカメラが必要になるかもしれません。定期的に見直しを行いましょう。
5. よくある質問(FAQ)
A. 無理強いは禁物です。まずはプライバシーへの影響が少ない「見守りプラグ」や「配食サービス」から始めましょう。一度転倒などのヒヤリハットを経験した後だと、「やっぱり心配だから」と提案して受け入れられるケースも多いです。
A. 無料の「電話(LINE)」と「地域の見守りネットワーク」をベースにします。カメラも、Amazonで買える「Tapo C210」や「ATOM Cam 2」なら3,000〜4,000円程度の買い切りで月額費がかからないため、非常に経済的です。
A. 夜間は最もリスクが高い時間帯です。「暗視機能付きの見守りカメラ」と「人感センサーライト」の組み合わせが有効です。足元を明るくするだけで転倒リスクは大きく下がります。
6. まとめ:早めの対策が親の自立期間を延ばす
一人暮らしの親御さんの安否確認は、家族の安心のためだけでなく、親御さんが住み慣れた家で長く暮らすための命綱です。
- まずは親御さんと話し合い、受け入れやすい方法から始める
- 見守りカメラは転倒リスクが高い親御さんには特におすすめ
- 複数の方法(カメラ、配食、地域支援)を組み合わせるのが鉄則
「何かあってから」では遅すぎます。元気なうちから少しずつ「見守りの仕組み」を作っておくことが、結果として親御さんの自立期間を延ばすことにつながります。
転倒リスクを減らす環境づくり
安否確認と同時に進めたいのが、家の中の安全対策です。
特に夜間のトイレ移動は転倒事故が多発します。手すりや照明で環境を整えましょう。

