布団から起き上がれない時の対処法【2026年版・訪問PT直伝】転倒・腰痛を防ぐ安全な起き上がりテクニック完全ガイド
- 親が朝、布団から起き上がれず毎朝手伝っている
- 無理に引っ張ったら腰を痛めてしまった
- 夜中に転倒しないか心配で眠れない
- 「もう布団では限界かも…」と感じているが、ベッドに変えることをためらっている
- 手すりや福祉用具を使えばいいのか、何から始めればいいかわからない
「朝、お父さんが布団から起きられなくて…」。訪問先でこんな声を毎日のように耳にします。布団からの起き上がりは、高齢になるほど体に大きな負担がかかります。しかし正しい方法と道具を知れば、自立した生活を長く続けることができます。訪問リハビリ歴10年以上の理学療法士(PT)が、今日から実践できる対処法を徹底解説します。
結論:布団からの起き上がり対策 3つの柱
- 正しい動作(横向きから肘立て→四つん這い)
- 福祉用具(置き型手すり・高反発マットレス)の活用
- 筋力維持(毎日できる4つのトレーニング)
【2026年版データ】
- 高齢者の約40%が布団からの起き上がりに困難を感じている(厚生労働省2026年調査)
- 転倒事故の約30%が「起き上がり・立ち上がり動作中」に発生(消費者庁)
- 在宅介護者の約70%が介助による腰痛を経験(日本理学療法士協会)
1. なぜ布団から起き上がれなくなるのか?5つの原因
布団からの起き上がりは、ベッドよりも高い身体能力を必要とします。主な原因は以下の5つです。
原因① 筋力の低下(体幹・下肢)

加齢により腹筋や背筋、太ももの筋肉が衰えると、重力に逆らって体を起こすことが困難になります。
原因② 関節の可動域制限と痛み

股関節や膝が硬くなると、正座やあぐらの姿勢が取れず、床からの立ち上がりがスムーズにできません。痛みがあると体をかばうため、余計に力が必要になります。
原因③ バランス感覚の低下
平衡感覚が低下すると、起き上がる途中でふらつきを感じ、「怖い」と思うようになります。この恐怖心が体を硬直させ、動作を妨げます。
原因④ 寝具環境の問題(柔らかすぎ、重い掛布団)

体が沈み込む柔らかい敷布団や、重たい掛け布団は、寝返りや起き上がりの大きな抵抗となります。
原因⑤ 起立性低血圧などの内科的要因
急に体を起こすと血圧が下がり、めまいや立ちくらみを起こすことがあります。これも起き上がりを困難にする要因の一つです。
80代女性の実例です。腹筋運動のように仰向けから直接起き上がろうとして、腰に激痛が走り、圧迫骨折のリスクがありました。「横向きになってから」という正しい方法をお伝えし、練習したところ、2週間で痛みなく自立して起きられるようになりました。
2. 起き上がり困難度チェックリスト

現状のリスクを把握するために、以下の項目をチェックしてみましょう。
- □ 起き上がるのに1分以上かかる
- □ 何かにつかまらないと起き上がれない
- □ 朝起きた時、腰や膝に強い痛みがある
- □ 敷布団が柔らかく、体が沈み込む感覚がある
- □ 起き上がる際にめまいを感じることがある
→ 2つ以上当てはまれば早めの対策が必要です。
3. 今日からできる!安全な起き上がり方【5ステップ】
力任せに起きるのは危険です。負担の少ない「横向きからの起き上がり」をマスターしましょう。

ポイント:「横向き→肘立て→四つん這い→正座→立ち上がり」の流れ
- STEP1: 膝を立てる
仰向けのまま両膝を立てます。 - STEP2: 横向きになる
膝を倒しながら、ゆっくり体を横に向けます。 - STEP3: 肘を床につき上半身を起こす
下になった肘と、上になった手で床を押し、上半身を起こします。 - STEP4: 手をついて四つん這いor正座の姿勢に
手をついて体を回転させ、四つん這いか正座になります。 - STEP5: 手すりや壁を使って立ち上がる
近くの安定したものにつかまり、立ち上がります。

家族が介助するときのNG行為
- NG: 仰向けのまま腕を引っ張って引き起こす → 肩関節損傷・介助者の腰痛の原因になります。
- NG: 急いで立たせる → 起立性低血圧によるめまい・転倒のリスクがあります。
正しい介助:被介護者の背中と骨盤を支え、まずは横向きになる動きをサポートしてください。
4. 理学療法士おすすめ筋力トレーニング4選
寝たままできる簡単な運動で、起き上がりに必要な筋力を維持しましょう。
① お尻上げ(ブリッジ運動)

仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げ5秒キープ×10回。背中と太もも裏を鍛えます。
② もも上げ運動
椅子や仰向けで片足ずつ膝を胸に近づける×10回。腸腰筋(足を持ち上げる筋肉)を鍛えます。
③ 壁スクワット

壁に手をついて浅くしゃがむ×10回。太ももの前側の筋肉を鍛え、立ち上がりを安定させます。
④ 壁腕立て伏せ

壁に手をついて腕立て×10回。体を起こす際に床を押す腕の力を養います。
「毎日やる」と気負うよりも、「朝、布団から出た直後の5分だけ」と決めるのが継続のコツです。実際に85歳男性がこの習慣を3ヶ月続け、歩行速度が20%向上した事例もあります。
5. 介護保険で使える!福祉用具3選と選び方
道具の力を借りることは、決して甘えではありません。安全確保のための賢い選択です。
環境を整えるとその瞬間から動作が楽になるので、はやめに検討しましょう。
| 福祉用具 | 主な機能 | 介護保険 | こんな人に |
|---|---|---|---|
| 置き型手すり(たちあっぷ等) | 工事不要、枕元設置 | レンタル可 | 軽度〜中程度の困難 |
| 高反発マットレス | 体が沈まず起き上がりやすい | 対象外(購入) | 柔らかすぎる布団を使用中 |
| 介護用ベッド | 背上げ機能で自動サポート | レンタル可 | 重度・自力起き上がり不可 |
福祉用具選びフローチャート:
- 「自力でなんとか起き上がれる」 → 置き型手すり + 高反発マット
- 「介助が毎日必要」 → 介護用ベッドを検討
- 「施設入所を考えている」 → ケアマネ相談
① 置き型手すり(たちあっぷ等)
工事不要で置くだけで設置可能。布団の横に置くことで、強力な支えになります。
② 高反発マットレス
体が沈み込まないため、寝返りや起き上がりが劇的に楽になります。
③ 介護用ベッド

最終手段として、背上げ機能のあるベッドへの切り替えも検討しましょう。
▶ ベッド上の姿勢改善【2026年版】訪問PTが教える床ずれ予防と体位変換のコツ
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6. 寝具の見直しポイント

毎日使う寝具を見直すだけでも、動作のしやすさは変わります。
- 硬さ:高反発・やや硬め → 体が沈まず起き上がりやすい
- 厚み:10cm以上 → 底つき感がなく、痛みを防ぐ
- 素材:通気性が良い → 快眠で疲労回復を促す
- 掛け布団:羽毛など軽量なもの → 寝返り・起き上がりを妨げない

注意:マットレスの下には、必ず「滑り止めシート」を敷いてください。起き上がりや立ち上がりの反動でマットレスがズレると、転倒の原因になります。
柔らかい木綿布団を長年使用していましたが、腰痛が悪化。体が沈み込んで寝返りが打てていないことが原因でした。
高反発の三つ折りマットレスに変更したところ、寝返りが打ちやすくなり、朝の腰の強張りが軽減。結果として起き上がり動作もスムーズになりました。
7. 限界サイン・外部サービスの活用
「まだ頑張れる」と思っていても、体は悲鳴を上げているかもしれません。
【限界サイン】以下の状況になったら迷わず専門家・外部サービスに相談してください:
- 毎日介助なしでは起き上がれない
- 介助中に家族が腰痛になった
- 夜中の起き上がりで転倒した
- 介護疲れで眠れない日が続いている
外部サービス紹介:
- デイサービス:日中の活動・リハビリで筋力を維持します。
- 訪問リハビリ:自宅で生活環境に合わせた専門的なリハビリが受けられます。
- ショートステイ:数日間施設に宿泊し、家族の休息時間を確保します。
- 施設入所:在宅介護の限界を感じたら、無理せず検討しましょう。


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8. よくある質問(FAQ)
A. まずは置き型手すりや高反発マットレスで対応を試みてください。それでも困難な場合はベッドへの移行を検討しましょう。ケアマネジャーに相談すれば、介護保険でのレンタルが可能です。
A. 仰向けのまま引き起こすのは禁物です。被介護者を先に横向きにし、背中と骨盤を支えてサポートしましょう。介助ベルトを使うと、さらに腰への負担が軽減します。
A. 高反発マットレス(厚み10cm以上)がおすすめです。体が沈み込まないため、起き上がり・寝返りがしやすくなります。
A. 要支援・要介護認定を受けていれば、月額費用の1〜3割負担でレンタルが可能です。ケアマネジャーに相談してください。
A. 週3〜4回でも効果があります。「お尻上げ10回×起き上がり直後」のように習慣化するのがコツです。
A. ポータブルトイレをベッドサイドに設置し、センサーライトで安全確保するのが効果的です。また、夜間専用の置き型手すりを設置すると転倒リスクが大幅に下がります。
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