杖を使いたがらない親にどう声をかける?失敗しない3つの工夫
こんにちは。
私は訪問看護ステーションで理学療法士として働いています。
日々の訪問リハビリの中でよく耳にするお悩みのひとつが、「親が杖を使ってくれないんです…」というもの。
本人の安全のために使ってほしいけれど、なかなか受け入れてもらえない。
この記事では、そんなお悩みに応えるために、現場の経験から導き出した“失敗しない3つの工夫”をご紹介します。
なぜ高齢の親は杖を嫌がるのか?

まず大前提として、「杖=老い・衰え」と感じる方はとても多いです。
杖を使うことで「自分はもう年寄りなんだ」と認めたような気持ちになってしまう。これが、抵抗感の正体です。
また、杖を使うと「目立つ」「周囲に弱っていると思われたくない」といった気持ちも根底にあります。
だからこそ、無理に勧めたり、正論をぶつけても逆効果になることが少なくありません。
工夫①:「不安の言語化」を手伝う

まず意識してほしいのは、“本人の不安や気持ち”をしっかり言葉にしてもらうこと。
「なんで使いたくないの?」「どんな気持ちになる?」と、頭ごなしに説得する前に“聞く姿勢”を持つことが大切です。
意外と「転ぶのが怖い」「歩くのが不安」と思っている方でも、それを言葉にできていないケースは多いです。
共感的に耳を傾けることで、「じゃあ、ちょっと試してみようかな」と前向きになるきっかけが生まれます。
工夫②:選ぶ杖の“デザイン”にもこだわる

今は昔と違って、おしゃれな杖がたくさんあります。
木製の上品なデザイン、軽量でカラフルなもの、折りたたみ式の便利なタイプなど、「自分らしい杖」が選べる時代です。
たとえば、以下のような杖は利用者さんからも人気があります:
- 🌿 【軽量&おしゃれ】折りたたみ式ステッキ(花柄)
→ バッグにも入れやすく、使いたいときだけさっと出せるのが便利
- 🌟 【木製・クラシック調】高級感のあるステッキ
→ まるでファッション小物のように使えると好評
ポイント:「自分で選んだ杖」は愛着が湧きやすく、長く使ってもらえる傾向があります。
工夫③:「必要な場面だけ」と伝える

「常に杖を持っていないとダメ」と言われると、誰だって抵抗があります。
そんなときは、「玄関の段差だけ使おうか」「買い物の時だけ持っていくのはどう?」など、“限定的な使い方”を提案してみましょう。
また、杖に関連する便利グッズを組み合わせるのもおすすめです:
- 🧲 【マグネット付き杖ホルダー】
→ 外出先で杖を立てかけたいときに便利
- 👟 【滑りにくい靴(高齢者向け)】
→ 杖と併用することで、より安心して歩行できます
慣れてくると、本人の中で「杖があると安心」「意外と便利かも」と感じることが増えてきます。
そこから自然と日常的に使うようになる方も多いですよ。
最後に:大切なのは「親を変える」のではなく「寄り添う」こと
杖を使ってもらうことは、転倒予防や外出の支援につながる大切な一歩です。
でも、それ以上に大切なのは、親御さんの気持ちやプライドに寄り添いながら関わっていく姿勢です。
理学療法士として日々感じるのは、「自分で選んだ」と感じられる関わり方のほうが、長く続くし、親も気持ちよく受け入れやすいということ。
ぜひ今日から、声のかけ方を少し変えてみてくださいね。
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