通所と訪問リハ、どちらが合ってる?家族の見極めポイント

「通所リハビリに通わせたけど続かなかった…」「訪問リハビリって本当に効果あるの?」そんなご家族の声を、訪問リハの現場でよく耳にします
高齢者の在宅生活を支えるうえで、「通所」か「訪問」かの選択は、とても大切な分岐点
でも、正解は人それぞれ
どちらにも良さがあり、ご本人の状態や性格、生活環境によって合うかどうかは違います
この記事では、訪問看護ステーションで働く理学療法士の視点から、通所リハビリと訪問リハビリの違い、どちらが合っているのかの見極め方、そしてご家族におすすめしたい福祉用具まで、やさしく解説していきます
通所リハビリとは?|外に出て受ける「集団型のリハビリ」
通所リハビリ(デイケア)は、介護保険サービスの一つで、施設に通って理学療法士・作業療法士などの専門職からリハビリを受けるサービスです
通所リハのメリット
- 外出することで生活リズムが整う
- 他者と関わることで刺激や交流が得られる
- 家族の介護負担(レスパイト)が一時的に軽減される
- レクリエーションなどを通じて意欲向上につながる
こんな人に向いています
- 車いすや杖での移動が可能な方
- 人と話すのが好き、交流を楽しめる方
- 日中に活動できる体力がある方
事例:外出のきっかけづくりになったAさん
80代女性のAさんは、認知症の初期
家では一日中テレビの前で過ごしがちでした
ご家族がデイケアに通わせたところ、他の利用者と話すのが楽しくなり、生活にメリハリが生まれました
週2回の通所が、Aさんの外出の習慣と笑顔を取り戻すきっかけになりました
訪問リハビリとは?|自宅で受ける「個別のリハビリ」
訪問リハビリは、理学療法士・作業療法士が自宅に訪問し、その人の生活環境に即した訓練を提供するサービスです
訪問リハのメリット
- 通う必要がなく、体の負担が少ない
- 自宅環境を活かした現実的な訓練ができる
- ご家族も訓練に立ち会い、動かし方や介助方法を学べる
こんな人に向いています
- 外出が難しい方、移動時に転倒リスクが高い方
- 認知症が中等度以上で、環境の変化が不安な方
- 寝たきり状態からの改善を目指している方
事例:退院後の生活動作訓練が必要だったBさん
脳梗塞後に退院したBさん(70代男性)は、歩行は可能でも自宅の段差やトイレ動作に不安がありました
訪問リハでは、ご自宅の環境を確認しながら、段差昇降、浴室移動、トイレ動作を反復練習
2か月後には介助なしでの生活が可能になりました
通所?訪問?迷ったときの見極めチェックポイント

チェック項目 | 通所が向いている | 訪問が向いている |
---|---|---|
体力 | 外出できる・活動的 | 移動が不安・体力がない |
認知機能 | 軽度〜中等度 | 中等度以上 |
家族の介護負担 | 休息が必要(デイで預けたい) | 一緒に介護方法を学びたい |
交流の必要性 | 他者との交流が好き | 静かに落ち着いた環境が安心 |
リハビリの目的から考える選び方
「通所と訪問、どちらが正しい?」ではなく、「今の目標に合っているのはどちらか?」がポイントです
- 転倒予防・筋力維持が目的なら通所リハ
- 寝たきりからの改善、自宅内の動作訓練なら訪問リハ
特に注意が必要なのは、通所施設で“できている”ように見えても、自宅で同じことができないケースです
たとえば、平行棒の間は歩けても、自宅の廊下では手すりがなければ歩けない…ということはよくあります
環境にあった動きができているのかがポイントです
ご自宅にの環境にあった生活動作ができるようになりたいのであれば、訪問リハの方を選んだ方がいいでしょう
リアルな相談事例:こんな声を聞きました
訪問現場では、こんなご家族の声をよく聞きます

通所は本人が嫌がってしまって…最初は行けても、すぐやめてしまったわ

訪問リハは安心だけど、家に来る時間に合わせるのが難しい
リハビリは、“やらせる”ものではなく、“続けられる”ことが何より大切です
だからこそ、最初の選択は慎重に、ご本人の気持ちも大切にしたいですね
併用という選択もあり
実は、通所リハと訪問リハは介護保険内で併用可能です(要支援・要介護度に応じた制限内で)
- 月・木は訪問リハで生活動作の練習
- 火・金は通所で筋トレと交流
こんなふうにうまく組み合わせることで、心身ともにバランスよくケアが可能になります
おすすめの福祉用具|通所・訪問どちらにも使えるアイテム

歩行補助におすすめ|【島製作所 シンフォニーSP】
折りたたみ可能なシルバーカーです
屋外・屋内兼用で、通所リハの送迎にも便利
座れるようになっているので、疲れたらすぐ休憩できます
自宅での入浴に|【楽々健 シャワーチェア】
滑りにくい+背もたれ付きで、訪問リハ中の入浴動作訓練にも使いやすいです
一人でのシャワーの動作も安定し、家族の介助負担も減らせます
介助者の腰を守る|【コシビシベルト(インフィックス)】
抱えたり移乗する場面での腰への負担を軽減
しっかりと腰をサポートしてくれるので介護者のケガ予防におすすめです
まとめ|“今”に合った選択を
通所と訪問、どちらが「正解」ということはありません
ご本人の体力や性格、生活環境に応じた“そのときのベスト”を選ぶことが大切です
そして状況は変わります
月日が経てば「通所に切り替える」「訪問に戻す」ということも十分あり得ます
そんな時は、遠慮なく理学療法士やケアマネジャーに相談してください
介護をするご家族にとっても、無理なく、安心して続けられるリハビリが見つかりますように