車いすクッションで変わる!姿勢・褥瘡・快適さ

在宅介護の現場でよく聞く言葉に、
「座ってる時間が長いから、クッションなんてどれも同じでしょ?」というものがあります
でも、実際には違います
車いすのクッションひとつで、姿勢の崩れ方も、褥瘡(じょくそう・床ずれ)のリスクも、座っている本人の「快適さ」までもが、大きく変わるんです
私は訪問看護ステーションの理学療法士として、日々多くのご家庭を訪問していますが、
「いいクッションに変えただけで、姿勢も笑顔も全然違う!」という場面を何度も見てきました
この記事では、そんな「車いすクッションの力」について、やさしく分かりやすくお伝えします
1. なぜ車いすクッションが重要なの?

高齢になると、筋力やバランスの低下により、自分の体をしっかり支えて「まっすぐ座る」ことが難しくなってきます
特に、車いすで過ごす時間が長い方にとっては、「座る姿勢」がそのまま「生活の質」に直結します
クッションが合っていないと、以下のような問題が起こります
- 骨盤が傾いて背中が丸くなる
- お尻や尾てい骨が当たり、褥瘡の原因に
- 身体がずり落ちていくので、しょっちゅう姿勢を直す必要がある
- 食事や会話のときも疲れやすくなる
これらを防ぐために、適切な車いす用クッションの選択が非常に重要です
2. クッションが変える3つのこと

① 姿勢が安定する
クッションが骨盤をしっかり支えてくれると、背骨も自然と伸びやすくなります
結果として、
- 背中が丸くなりにくくなる
- 呼吸がしやすくなる
- 食事や発声も楽になる
高齢になると食事をしていてむせることが増えてきます
それは加齢による嚥下機能(飲み込む力)が落ちてきているだけでなく、姿勢の影響もあることが多いです
むせることが増えると誤嚥性肺炎になるリスクも高くなってくるため、早急に対応した方がいいです
② 褥瘡(床ずれ)の予防につながる
褥瘡は「圧迫」と「摩擦」が主な原因です
柔らかすぎるクッションや、逆に硬すぎるものでは圧が偏り、皮膚や筋肉がダメージを受けやすくなります
体圧分散性に優れたクッションを使うことで、お尻全体に均等に圧がかかり、褥瘡のリスクを下げることができます
③ 座る時間が快適に
「座り心地がいい」というのは、見逃されがちなポイントですが、とても大事です
痛みや違和感があると、それだけで本人のストレスになりますし、姿勢も崩れやすくなります
「座り心地が悪いクッションに座るのは嫌だ」と思うと、「ベッドに寝ていた方が楽だ」という考えになり、寝ている時間が増えてきて日中の活動量が減り、フレイルとなってしまう可能性が高くなります
よいクッションは、安心して長く座っていられる快適さを生み出します
その快適さが活動への活力となりアクティブな気持ちにしてくれるのです
フレイルについて知りたい人はコチラの記事
→フレイルって何?放っておくとどうなるの?予防と対策をわかりやすく解説
3. クッション選びの3つのポイント

① 体圧分散性
褥瘡予防のためには「体圧分散」が大切です
ジェルタイプやエアタイプ、低反発ウレタンなど、素材によって性能が異なります
特に褥瘡リスクが高い方には「ジェル」や「エア」がおすすめです
② 姿勢保持力
ただ柔らかいだけでは、骨盤が沈み込んで姿勢が崩れてしまいます
座ったときに「お尻が安定している」と感じられるものを選びましょう
座位保持が難しい方には、立体型になっていて骨盤を左右から支える形状のクッションがおすすめです
③ メンテナンス性(洗えるか、カバーの交換が可能か)
尿失禁や汗などで汚れることもあるので、カバーが洗えるかどうか、素材が清潔に保てるかも大事なポイントです
4. 理学療法士おすすめ!車いす用クッション3選

① 【エクスジェル】アウルCARE
高い体圧分散性+姿勢保持力の両立が魅力です
独自開発のジェル素材が気持ちよく、長時間座っていてもお尻が痛くなりづらいですよ
② 【ケープ】キュブレナクッション
空気の力で体圧を分散
自宅でも空気調整が簡単にでき、軽量で持ち運びにも便利です
③ 【エクスジェル】ミニプ二
車で出かけるときに、車のシートのクッション性だけではお尻が痛くなりそうで心配ならこのクッションが最適です
折りたたんで鞄にしまうこともできるので、通院や旅行など外出時にはとても便利です
5. よくある疑問Q&A

Q. どのくらいの頻度でクッションを見直した方がいい?
→半年〜1年に一度は状態チェックをおすすめします
Q. 車いすとセットで買わなきゃダメ?
→クッションだけでも購入可能です
Q. 座面の高さが変わると、足が床に届かなくなりませんか?
→そのとおりです
クッションの厚みは5cm〜10cmあるため、足の位置(フットレスト)調整が必要になることもあります
6. 最後に:クッションが変える「その人らしい生活」
「クッションを変えるだけで、こんなに変わるなんて思わなかった」
これは、実際にご家族からいただいた言葉です
座り姿勢が安定することで、
- 表情が柔らかくなる
- 食事が進む
- 活動意欲が出てくる
その方の「その人らしい生活」を支えるために、車いす用クッションは、決して侮れない存在です
ぜひ、ご家庭でも一度見直してみてくださいね
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